東南海・南海地震の発生が想定される和歌山も、片田教授のアドバイスを受け、地震の危機だけを強調する「おどし」の教育から、子どもたちが「自ら命を守る主体者」になる方針へ転換。その最初の取り組みとして『手引き』を作成した。
『手引き』では、地震と津波、避難、対処行動の学習方法や、指導のポイントを小1から中3まで学年別に整理。避難は町の地理的条件に応じた対応が必要なことから、タウンウォッチング、防災マップづくりを通じて地域の状況把握を促す。また、中学1年では「避難できない人間の心理」をテーマにし踏み込んだ内容にまで及んでいる。
一方、昭和南海地震で津波の被害が出た海南市でも市教委が手引きの製作を昨年夏から進めている。市内の幼稚園から高校まで33校・園で行っている防災教育実践例をまとめ、全学校が教育内容を共有するのがねらいだ。今年度中に暫定版を完成させる計画で、地域住民を招いて防災学習報告会を開いた黒江小学校の例や、下津第一中学校ほかが実施している災害図上訓練など、中身を調整中。
県健康体育課によると、手引きを基にした防災教育の研究会づくりが各地域で進んでいる。同課は「ノルマ的に考えるのではなく、先生方の努力で子どもたちの関心を高め、危険から身を守る行動ができるようにして欲しい」と話している。避難訓練は地域の高台へ
沿岸部に位置する学校では、子どもたちの命を守るための取り組みが進む。海南市鳥居の内海小学校は、運動場に逃げて終わっていた避難訓練を、東日本大震災後、より安全な校外の高台まで移動する形に変更した。
今年度3回目の訓練となった1月31日は避難完了まで11分と前回より七分も短縮。中浴正喜校長は「緊張感を持ってのぞめたことと、ルートを変えたことが要因」と見る。前回の経路は道幅は広いが、土砂崩れの可能性があるため、別の道で実施。古市晃崇くん(6年)は「2つのルートでの訓練を通し、どの道でも避難できる自信になりました」。前窪あゆさん(同)は「実際の地震の際に的確に逃げられるよう他のルートもしっかり覚えたい」と油断はない。
和歌山市和歌浦西の和歌浦小学校も昨年10月に高台への避難訓練を実施。6年生が1年生を誘導し、後の学年が続いた。11月はプロの役者に学んだ5年生が防災をテーマにした演劇を地域住民に発表。家の中や屋外で地震に動揺する人を演じた。
中村民樹校長は「『津波の時はこうするんだ』と、演じた児童、見た人たちの双方に思ってもらえました」。また、県教委の『手引き』に関し、「震災以降、子どもたちは地震の話に敏感。意識の高いうちに取り入れ、社会や理科などと関連づけながら計画的に進めたい」と話している。
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【南日本新聞】防災マップコンで特別賞 奄美市の大川小
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【毎日新聞】浅間山ハザードマップ:検討委が見直し案 噴火の推移を4ステージに
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和歌山県田辺市で、新たなハザードマップが整備されることについてのニュースが紀伊民報に掲載されています。
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